脱毛による色素沈着の原因および治療・予防法など全知識

せっかくムダ毛を処理したのに、肌が黒ずんでいて(色素沈着)人には見られたくない。このような悩みを抱えている女性が増えています。特に多いのは、ワキの下やビキニラインの色素沈着です。色素沈着はムダ毛処理と同時に悩みの種となります。ここでは、
 
・肌の色素沈着とムダ毛処理の関係性は?
・肌の色素沈着は治るの?
・どんなケアをすればいいの?

と言ったよくありがちな肌の色素沈着(黒ずみ)に関する疑問にお答えします。

脱毛による色素沈着(=黒ずみ)とは

色素沈着とは、いわゆるシミのことです。外部からの刺激に反応して、メラニンと呼ばれる褐色の細胞が増殖することにより生じます。

原因はいくつかありますが、身近なものだと、紫外線の刺激によるものです。また、皮膚炎症後に色素沈着するケースや、ホルモンバランスの乱れによるケースもあります。

大切なことは、日焼け後の肌にポツポツと出現するあのシミと、ムダ毛の自己処理を繰り返してできた色素沈着は、肌に起こっている現象(メカニズム)としては同じであるということです。

メラニン細胞は、外部からの刺激に反応して、肌を保護するために増殖します。しかし、メラニン細胞は褐色の細胞のため、メラニン細胞の数が増えると色素沈着の原因となります。

どのような色素沈着が生じるかは、ムダ毛の処理方法により異なります。例えば、カミソリによる処理の場合、広範囲に摩擦の負荷がかかるため、全体的にぼんやりと黒ずんだタイプの色素沈着が生じます。また毛抜きによる処理を繰り返した場合、ポツポツとした斑状の色素沈着が起こります。

その他、毛包炎やかぶれなど、炎症後の肌に傷痕となって色素沈着することもあります。炎症が強かったり、期間が長引いたりすることで色素沈着の程度もひどくなります。

色素沈着の治療法|きれいな肌の取り戻し方

色素沈着は、短期間で治療することは難しいですが、時間をかければきれいに取り除くことができます。

きれいな肌を取り戻すためには、表皮のターンオーバーサイクルを整えて、メラニンを排泄することがポイントになります。焦る気持ちは分かりますが、根気強く継続的にケアしていくことが重要です。

※ターンオーバーやメラニンの排泄などについては、さらに詳しく知るを参照してください。

色素沈着の治療方法

古い角質を除去する

古い角質が残っていると角質が厚くなり、全体的に肌がくすんだ印象を与えます。酵素入りのせっけんやパック、拭き取り用のローションやソフトピーリング剤などで、不要な角質はしっかり取り除いてください。

ホワイトニングケアをする

メラノサイトの活性化やメラニンの生成を抑えたり、すでにできてしまったメラニンを還元してくれるようなホワイトニング専用の化粧品でケアすると効果的です。ビタミンC誘導体やアルブチン、エラグ酸等を配合した美容液やクリームなどがおすすめです。

マッサージをする

マッサージで血行促進するのも効果的です。オイルに有効成分を溶かして肌に浸透させるように軽いタッチでマッサージしましょう。

ワンポイントアドバイス

マッサージをする際、直接肌をさすると摩擦が色素沈着の元となり、逆効果となってしまうので、必ずオイルやローションなどを使って、肌を滑らせるように優しくマッサージを行うようにしてください。

きれいな肌を取り戻すお手入れポイント
方法 詳細
古い角質の除去 フルーツ酸や酵素入りのせっけん、拭き取り用のローションやジェル状のピーリング剤
ホワイトニングケア ビタミンC誘導体やアルブチン等のホワイトニング成分配合の化粧品
マッサージ 血行促進で新陳代謝アップ

色素沈着をケアする化粧品の選び方

自宅でセルフケアをする際に、化粧品を選ぶ時のポイントをまとめました。商品を選ぶ際の参考にしてください。

ピーリング剤

古くなった角質を取り除いて、ターンオーバーを促進し、柔らかくなめらかな肌に整えます。スクラブ状のものもありますが、色素沈着のケアとしては刺激が強いため、あまりおすすめできません。

市販品で入手しやすいものの中では、酸を使って角質除去するタイプのせっけんやローションが人気です。AHAと呼ばれるグリコール酸やフルーツ酸を配合しています。

AHA配合と記載があっても種類はさまざまです。「酸の強さ」から見ると、強いものから順に、トリクロロ酢酸、グリコール酸、乳酸、りんご酸、クエン酸となります。りんご酸やクエン酸を配合したせっけんはかなりメジャーな商品で、ピーリング効果もソフトなので、ピーリングがはじめての方や、敏感肌の方にはおすすめです。

また、ピーリング効果の高さでいうとグリコール酸配合のせっけんもおすすめです。グリコール酸の配合率が高いほどピーリング効果もアップします。

さらに、ローションやジェルタイプのものもあります。拭き取りタイプ、塗布してから洗い流すタイプ、洗い流し不要のタイプなどがありますが、拭き取りタイプやマッサージしてから洗い流すタイプのものは、使い方によっては肌に負担がかかります。色素沈着の対策から考えると、使いやすさの面でも効果面でも、せっけんがおすすめです。

ホワイトニング化粧品

美白効果をうたったホワイトニング化粧品は、医薬部外品という部類の化粧品です。

医薬部外品とは「目的に対して有効な成分が、一定の濃度で配合された医薬品と化粧品の中間的なもの」として厚生労働省に認可されたもので、医薬品ほど効き目の強さはないものの、症状の緩和や予防目的で医薬品に準ずるものとして分類されています。

「美白効果」と表示しているので、消費者としても購入時に商品を選ぶ目安となります。有効美白成分には、アプローチ方法の違いで3タイプあります。

できてしまったメラニンを還元する「改善タイプ」メラニン色素が生成されるのを抑制する「予防抑制タイプ」メラニンができる過程にアプローチする「予防ブロックタイプ」です。企業が独自で開発した有効成分もあるので、目的に合わせて選ぶようにしてください。

おもな美白有効成分
タイプ別 有効成分
改善タイプ ビタミンC誘導体、プラセンタエキスなど
予防抑制タイプ アルブチン、エラグ酸、リノール酸など
予防ブロックタイプ トラネキサム酸、t-AMCA(t-シクロアミン酸誘導体)など

話題の色素沈着治療薬「ハイドロキノン」と「トレチノイン」

美容皮膚科を受診すると、処方せん薬としてハイドロキノン(メラニン生成を抑制)とトレチノイン(メラニンを排泄)を併用する場合があります。

ハイドロキノンは、メラノサイトの活性を抑えて、予防だけでなく今ある色素沈着にも効果を発揮します。日本では、厚生労働省により化粧品への配合は2%までと定められているので、それ以上のハイドロキノンは病院での処方になります。

トレチノインは、ビタミンA誘導体でかなり強力なピーリング作用があります。メラニンの排泄効果も高く、ハリが出て小ジワ対策にもなり、ニキビの治療薬としても有効です。

この2つを組み合わせると相乗効果でハイドロキノンの浸透力がアップします。使い方には充分な注意が必要なため、必ず専門医に相談の上使用してください。

脱毛後のアフターケア

脱毛直後の肌をいたわる鎮静ジェルやローションを選ぶ際は、しっかり保湿、クールダウンできて、脱毛直後のデリケートな肌に使用できるものを選んでください。

脱毛後のアフターケアに使用するもの
目的 成分
肌荒れ防止 ユキノシタエキスなど
乾燥や炎症によるダメージケア、保湿 アロエベラ葉エキス、ヒアルロン酸、カッコンエキスなど
抗酸化、抗炎症、抗アレルギー グリチルリチン酸2K、オウゴンエキスなど

色素沈着の治療サイクル

ムダ毛処理をして3日~1週間後、次のムダ毛処理との間に、角質オフのお手入れをすると効果的です。

例えば、次のようなサイクルがおすすめです。

STEP1:ピーリング(角質オフ)

ムダ毛処理の前日までに古い角質をオフしておくことで、肌表面がなめらかになり、ムダ毛処理の際の肌への負担を軽減します。

STEP2:ムダ毛処理

処理直後はクールダウンと専用のローションやジェルでの保湿のみを行い、油分を含むものは使用しないでください。

STEP3:アフターケア(保湿・クールダウン)

ムダ毛処理から数日間は、クールダウンと保湿で肌表面を落ち着かせてください。

STEP4:ピーリング(角質オフ)

ムダ毛処理から3日~1週間後、肌状態が落ち着いたことを確認して角質オフします。次のムダ毛処理まで、週に1~2回程度を目安にお手入れすると効果的です。

STEP5:ホワイトニングケア

角質オフとの併用がおすすめです。ホワイトニングケアは、有効成分を配合したローションや美容液、クリーム、オイルなどを使って行ってください。

STEP6:ムダ毛処理

肌の状態を確認しながら、ムダ毛処理と肌のお手入れをローテーションにすると習慣にしやすく、ムダ毛処理による色素沈着の予防対策になります。

色素沈着の予防法

色素沈着を防ぐためには、日頃どのようなことに気をつければ良いのでしょうか? ここでは色素沈着を防ぐために避けるべき習慣と、実践すべき正しい予防法について解説します。

色素沈着を防ぐために避けるべき習慣

肌に刺激を与えること

肌への刺激を避けるためには、自己処理の回数を減らすことが大切です。しかし、夏場など、簡単に自己処理の回数を減らせないこともあります。

そのような場合は、長時間入浴後のシェービング処理を控えてください。また、入浴時にせっけんを使ってシェービングするというのも、ついついやってしまいがちですが、深剃りにつながり角質層も一緒に削り取ってしまう要因となります。角質層を削ってしまう=肌への刺激、は色素沈着を招く元です。

脱毛処理直後の日焼け

海水浴やプールの予定に合わせて脱毛処理をすることが多いと思いますが、前日のムダ毛処理は控えてください。毛抜きや家庭用の脱毛器、ワックスなどで処理をした後の毛穴の中は軽い炎症状態です。

紫外線の刺激と脱毛の刺激が重複すると、毛穴内にかかる負荷は相当大きなものになります。2~3日前までに脱毛処理を済ませておくようにしてください。

制汗剤の使用

制汗剤は清涼感もあり心地よく夏場は使用する機会も増えますが、汗と混ざって肌に長時間残っていると、化学変化が起こります。それが肌への刺激となるため、過度な使用は色素沈着の要因となり得ます。

使用上の注意をよく読んで使用することはもちろんですが、こまめに拭き取るなどして肌に長時間付着したまま放置しないように気をつけて使用してください。

色素沈着を予防する方法

ムダ毛処理の見直し

回数を減らす工夫

回数を重ねることで肌への負担が大きくなります。毎日処理しているところを数日に1回、数日に1回しているところを数週間に1回と間隔を空ける工夫をしたり、冬の間は自己処理をしないなど、休める期間を設けるのが効果的です。

肌はもともとターンオーバーを繰り返しながら、新陳代謝しているので、肌を休めて回復を図りながらムダ毛処理をするのは、きれいな肌を保ちながら脱毛をしていく意味で重要なポイントとなります。

脱毛時のビフォアーケアとアフターケア

意外とないがしろにされてしまうのが、脱毛時のビフォアーケアとアフターケアです。ビフォアーケアでは、肌を直接的な脱毛の刺激から保護し、コンディションを整えます。また、脱毛後の肌はとても敏感ですので、すばやく元の肌状態に戻れるようにしっかり保湿しアフターケアしてください。

健康な肌状態を保つこと

食生活の見直し

肌には外部の刺激から体を保護する機能が備わっています。健康な肌は、強い抵抗力を持っているのです。炎症を起こしてしまったということは、肌が外部の刺激に負けたということになります。

また、内臓不調が肌状態に影響することも多々あります。健康な肌であれば、それらの刺激に対しても抵抗力が働き、休養を取ることでスムーズに修復できます。

健康な肌状態を保つには、

  • 肌の構成要素であるたんぱく質
  • 体内で3大栄養素をスムーズに代謝・吸収させるのに必要なビタミンやミネラル

を含む、バランスの取れた食事を採ることが大切です。

また、女性に不足しがちな鉄分も健康な肌状態を保つのに欠かせません。メラニン色素が沈着するのを防ぐ効果があると言われているビタミンCと一緒に摂取すると、鉄分の吸収がアップするのでおすすめです。

まとめ|色素沈着と上手に付き合うには

最後に、脱毛による色素沈着について簡単にまとめます。

色素沈着の原因

色素沈着は、肌に物理的な刺激が過剰にかかった際、原因である褐色のメラニン細胞が増殖することで起こります。

色素沈着の治療法

角質の除去やホワイトニングなどがありますが、簡単に色素沈着を取り除くことはできません。時間をかけて根気強くケアをすることが大切です。

色素沈着の予防法

肌への刺激をできる限り避けてください。ムダ毛処理の回数を減らす工夫をして、肌をいたわりながらの脱毛を心がけましょう。

以上、脱毛による色素沈着について解説しました。繰り返しになりますが、色素沈着をすぐに治すことは難しいです。しかし、根気よく治療すればきれいな元通りの肌に戻すことができます。あまり焦らずにコツコツと治療するようにしてください。

さらに詳しく知る

ターンオーバーの仕組み

肌の表面は、表皮で覆われています。表皮は表面から順に角質層(かくしつそう)、顆粒層(かりゅうそう)有棘層(ゆうきょくそう)基底層(基底層)の4層で構成されています。

色素沈着に関与するメラニン細胞は、基底層の細胞内に存在します。表皮の最下層である基底層では、活発に細胞分裂が繰り返されていており、肌を再生する役割を担っています。

表皮細胞の中で細胞分裂するのは、基底層の一番下に一列に並んだ基底細胞のみです。分裂した後は上に押し上げられるだけで、それ以上分裂をして増えることはありません。基底細胞が分裂するたびに、新しく生まれた細胞は上に押し上げられ、最終的には角片となって自然にはがれ落ちます。

この現象は角化と呼ばれていて、細胞が生まれて角片となってはがれ落ちるまでの時間をターンオーバーといいます。

ターンオーバーの周期は40~60日(※)ほどで、部位や年齢などで異なります。(※28日周期と表記される文献もあります。)

メラニンの代謝と排泄

メラニンの排泄経路は、大きく分けて2パターンあります。
一つは、表皮の細胞と一緒に上へ押し上げられて最後に角片と混じって肌の表面からはがれ落ちる経路です。もう一つは、表皮細胞からさらに下層の真皮を経由して血液やリンパ液に運ばれて尿として体外へ排泄される経路です。

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