契約トラブルに注意!よくあるトラブル事例 &クーリング・オフの適切な流れ
ここでは、脱毛サロン・クリニックとの契約で、よくあるトラブルやその対処法、クーリング・オフについて説明します。法律にまつわることですので、中には難しい単語も出てきますが、あまり構えずに読み進めてみてください。
よくあるトラブル事例と対処法まとめ
トラブル1:体験コースに行ったら、しつこく勧誘された
体験コースを受けに行ったら、しつこく勧誘されてしまったという口コミを目にします。こうした勧誘をかわすにはどうすれば良いのでしょうか?
はっきり断る
まずは「今は必要ありません」などとはっきり断りましょう。
この時「お金がないので」などと経済的な理由で断ると、さらに安いコースやローンなどを勧めてくる場合があるので、「今はワキ脱毛しかしない」というように、希望したコース以外に必要がないことを伝えてください。
自分には契約の権限がないことを伝える
保護者や、夫、彼氏に相談してからでないと契約できないと言い、自分には契約の権限がないことを強く伝えて下さい。
友達と一緒に行く
自分一人では心配な場合は、友達と一緒に行くのもよいでしょう。この場合、あらかじめ友達に予算や脱毛したい部位を伝えておいてください。
次に用事がある旨を伝える
カウンセリングが始まる前に、次の予定を伝えておいたり、1時間後に携帯のアラームをセットしておき、それが鳴ったら「次に用事がありますので」と伝えるなど、あらかじめ店舗を出る理由を用意しておくのも手です。
事前に断る言葉を考えておく
しつこく勧誘されると、とっさに言葉が出てこない場合もあります。来店前に自分の希望や予算を考え、それ以外のコースをしつこく勧められた際の断りの言葉を考えておくと安心です。
とはいえ、近年では口コミ評価の悪化などに繋がるしつこい勧誘は減少しており、ホームページで「しつこい勧誘は行いません」と明示しているサロンも多いです。また、本当にお得なコースを勧めてくれている場合もありますので、あまり身構えずに、まずは話を聞いてみてください。
トラブル2:予約が全然取れない
せっかく脱毛を始めたのに、思うように予約が取れず、全く脱毛が進まない、というのもよくあるトラブル事例のひとつです。これらのトラブルを回避するには、どうすればいいのでしょうか?
契約前に、自分が通いたい曜日・時間帯の予約状況を確認する
契約をする前に、自分が通いたい曜日や時間帯の予約状況を確認しておきましょう。土日や平日の夜などは混み合っている事が多く、思うように予約が取れない可能性があります。
早めに予約を入れる
脱毛サロン・クリニックの多くは1~3カ月に1度の脱毛を勧めています。早めに予約を入れるためには、来店時に次回の予約を入れてしまうのが一番です。その時、予定が分からず予約できなかった場合も、なるべく早めに次回の予約を入れましょう。
混雑する時期を避ける
脱毛サロンが一番混雑するのは7~8月と言われています。この時期の予約は特に取りづらいので、新たに脱毛を始める場合、比較的予約の取りやすい秋から冬にかけてがおすすめです。 この時期であれば、日焼けする心配も少なく、お得なキャンペーンが行われている場合も多いです。
他の店舗に移動する
大手サロンの中には、契約した店舗以外にも自由に通える場合があります。店舗の移動が自由なサロンであれば、他の店舗の空き状況も調べてみてください。 駅から少し歩かなければならないなど交通の便の悪い店舗は、予約が取りやすい可能性があります。
当日や前日に再度、開いている時間帯がないか確認する
キャンセル料のかからないサロンなどでは、前日や当日に体調不良や急用などでキャンセルをする人もいます。直前に再び予約状況をチェックすると、空いている時間帯が見つかったりしますので、是非直前にもチェックしてみてください。
期間ではなく回数制のコースや通い放題コースで契約する
半年間通い放題、など期間で区切るコースにし、予約が思うように取れなかった場合、結局回数制の方がお得だったということもあります。心配な場合には、期間ではなく回数制のプランにするとよいでしょう。
トラブル3:契約しているサロン・クリニックが倒産してしまった
契約しているサロンが倒産してしまった場合、残り回数分のお金を返金してもらうには、迅速な手続きが必要です。まずは以下の手続きを行ってください。
1.契約書を確認する
契約書に前受金の保全措置についての記載があるか見てください。前受金の保全措置を取っているサロンであれば、倒産時に金融機関から返金してもらえる可能性があります。サロンや記載されている金融機関に連絡を取ってみましょう。
2.カード払いの場合は、カード会社に連絡する
クレジットカード払いの場合、引き落とし前の支払いを停止することができますので、なるべく早くカード会社に連絡してください。
カードで分割払いにしていた場合、倒産した時に支払いを停止できるので安心ですが、ほとんどの場合、分割手数料が必要なので、自分にとってどちらが良いか、契約の際によく考えてください。
3.消費生活センターに相談する
商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情や問い合わせなどを受け付けている公的機関・消費生活センターでは、専門の相談員から具体的なアドバイスを受けることが出来ます。
契約書の内容がよくわからない時や、前受金の保全措置が取られていないので、どうしたらいいかわからない時などは、まず消費生活センターに相談しましょう。全国47都道府県全てに設置されていますので、必ずあなたが居住する地域のセンターを利用してください。センターを訪ねての相談も、電話での相談も可能です。相談を行う際には、手元に契約書を準備しておいてください。
全国の消費生活センターについての詳細は、国民生活センターホームページをご覧ください。
ただ、迅速にこういった措置を取ったとしても、倒産したサロン・クリニックから残り回数分のお金を返金してもらえる可能性は非常に低いです。
こんなサロン・クリニックには要注意!
契約書の内容についての説明をしっかりとしてくれない
サロンの場合、契約期間が1カ月以上で、金額が5万円以上の場合、必ず契約書を作成しなければなりません。 契約書についてしっかりと説明をしないサロンは、問題が起こった時に誠意のある対応を取ってもらえるか疑問です。契約を考え直した方がよいでしょう。
クリニックの場合は、契約期間が1カ月以上で、金額が5万円以上の場合であっても、契約書を作成しなければならないという規定はありません。しかし、ほとんどの場合、契約書が作成されますので、その内容についてきちんと説明してくれるクリニックと契約するようにしましょう。
倒産した時の対応について説明してくれない
契約前に、倒産した時のことについて説明がない場合には、こちらから質問するようにしてください。誠実なサロン・クリニックであれば、詳しく説明してくれます。質問をはぐらかされたり、説明が曖昧だったりした場合には、契約を考え直した方が良いでしょう。
現金一括払いや前払いの商品ばかり勧めてくる
こういったサロン・クリニックは、すぐに現金が必要なほど資金繰りが厳しい可能性があります。もちろん、現金一括払いや前払いの商品がお得だからこそ、勧めてくれていることもありますが、そればかりを強く勧めてくる場合には、注意が必要です。
トラブルを防ぐためには…
こうしたトラブルを防ぐためにも、契約前に契約書の内容をしっかり確認しましょう。また、クリニックの場合、クーリング・オフ制度が適用されないことも多いので特に気をつけてください。
脱毛サロンの場合
脱毛サロンやエステでの契約のうち、契約期間が1カ月を超え、金額が5万円を超えるものは、特定継続的役務提供となり、特定商取引法という法律で規制されています。 契約の際には、契約の内容を記載した書面(概要書面・契約書面)を交付し、消費者(顧客)に渡さなければならないほか、誇大広告の禁止など、さまざまな禁止行為も定められています。
概要書面と契約書面の内容
サロンとの契約の場合、まずは、概要書面と契約書面の両方をもらったかを確認してください。 次に、それぞれに下記の項目が記載されているかを確認しましょう。太字は特にしっかり確認してほしい部分です。
概要書面(契約を結ぶ前にサロンが消費者に渡さなければならない書面)の記載事項
1.事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人ならば代表者の氏名
2.役務の内容
3.購入が必要な商品がある場合にはその商品名、種類、数量
4.役務の対価(権利の販売価格)そのほか支払わなければならない金銭の概算額
5.上記の金銭の支払い時期、方法
6.役務の提供期間
7.クーリング・オフに関する事項
8.中途解約に関する事項
9.割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
10.前受金の保全に関する事項
11.特約があるときには、その内容
契約書面(契約を結んだ後、サロンが消費者に渡さなければならない書面)の記載事項
1.役務(権利)の内容、購入が必要な商品がある場合にはその商品名
2.役務の対価(権利の販売価格)そのほか支払わなければならない金銭の額
3.上記の金銭の支払い時期、方法
4.役務の提供期間
5.クーリング・オフに関する事項
6.中途解約に関する事項
7.事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人ならば代表者の氏名
8.契約の締結を担当した者の氏名
9.契約の締結の年月日
10.購入が必要な商品がある場合には、その種類、数量
11.割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
12.前受金の保全措置の有無、その内容
13.購入が必要な商品がある場合には、その商品を販売する業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人ならば代表者の氏名
14.特約があるときには、その内容
概要書面の10と契約書面の12に書かれている前受金の保全措置とは、事業者(サロン)が倒産などをした際に、消費者に前金の全部または一部の返還を保証するため、事業者と金融機関などとの間で保証委託契約をしている場合を言います。
つまり、前受金の保全措置を取っているサロンであれば、倒産時に金融機関から返金してもらえる可能性があるということです。ただし、法律で義務付けられているわけではありませんので、この措置を設けているサロンは多くありません。
クリニックの場合
現在のところ美容外科や皮膚科など、医療機関で脱毛する場合、特定商取引法の適応外となり、クーリング・オフや中途解約に関する規制がありません。 ただ、2015年11月6日に消費者庁が美容医療の規制について「来年度中の見直しを目指す」と発表しているので、近い将来、規制が強化される予定です。
中途解約できるクリニックを選ぼう
クーリング・オフや中途解約に関する規制のない医療機関での脱毛契約の場合、原則として中途解約はクリニックとの話し合いになります。 もちろん話し合いの結果、快く返金に応じてくれる場合も多々あります。しかし、消費生活センターには「中途解約できなかった」などといった相談が相当数寄せられているのも事実です。
クリニックによっては、契約書類に中途解約に関する取り決めが記載されており、事前に口頭でも説明してくれるところもあります。
契約の前には、必ず中途解約やクーリング・オフについて質問し、口頭で説明された内容が書面にも書かれているか合わせて確認しましょう。
国民生活センターからのアドバイス
消費者問題を取り扱う公的機関・国民生活センターでは、クリニックでの契約について、次のようなアドバイスをしています。
消費者へのアドバイス
- ホームページや広告の情報だけに頼らず、自ら情報収集した上でクリニックに出向くか決めること
- クリニックの説明に納得できるまで契約しないこと。特に、即日施術は慎重に
- いったん契約すると、無条件に返金を受けることが難しいことを知っておく
- トラブルにあった場合は、消費生活センターへ。一人で悩まず、早めに相談すること
(国民生活センター報道発表資料より)
クリニックと契約する際には、この4点に特に注意してください。
契約前に確認しておきたいこと
ここでは、契約トラブルを避けるため、契約前に確認しておくべきことについてお伝えします。
契約書は必ず全文に目を通し、大切に保管する
当たり前のことですが、契約をする前には契約書によく目を通してください。顧客にとって不都合なことは小さな文字で書いてあり、口頭での説明がない場合があります。しっかりと全文に目を通してください。また、わかりにくい部分があった場合は、その場で質問し納得した上で、サインするようにしましょう。
契約書にサインした後は必ず控えを受け取り、契約したコースが完了するまで大切に保管してください。後々トラブルが起こってしまった場合や、解約したくなった場合に、契約書があれば、よりスムーズに手続きをすすめることができます。
契約書にサインする前に、特にしっかり確認しておきたいところ
日付
クーリング・オフができるのは、契約書を受け取った日から数えて8日以内(契約書を受け取った日を第1日目と数えます)です。契約書に書いてある日付が、契約書を受け取る日と同じかどうか確認してください。
契約コース、内容、期間
契約書に記載されているコース、内容、期間が事前に説明を受けた通りに記載されているか確認しましょう。
契約の変更、休会、中途解約について
契約後に妊娠してしまった場合や、引っ越しをすることになった場合、休会や中途解約はできるのか、また、途中でコースの変更が可能なのかも合わせて確認しておくとよいでしょう。
中途解約をする場合の違約金や払戻額の計算方法、解約手数料はサロン・クリニックによって異なりますので、しっかり確認しましょう。
契約に含まれる料金
契約時に支払った料金以外に必要なものはあるのかなどを確認してください。たとえば、処理中にジェルなどを使う場合、それらの料金はコース料金に含まれているのか、などです。
また、入会金が必要なサロン・クリニックの場合は、更新料が必要なのかも確かめておきましょう。
クーリング・オフについて
事前にしっかり準備・確認をして契約しても、やはり契約を取り消したくなることがあるかもしれません。そんな時はクーリング・オフ制度を活用してください。
クーリング・オフとは
クーリング・オフとは、契約をした後、頭を冷やして(クーリング・オフ)冷静に考える時間を消費者に与え、一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度のことです。サロン・エステでの契約の場合、契約期間が1カ月以上で金額が5万円以上の場合には、必ずクーリング・オフを行うことができます。
また、無条件で契約を解除できる制度なので、契約手数料や違約金などを請求されても支払う必要はありません。
クリニックの場合、規制の対象外ですが、独自にクーリング・オフ制度を設けている可能性もありますので、契約前に確認してください。
クーリング・オフの手続き方法
1.書面を作成し、郵送する
クーリング・オフの通知は必ず書面で行います。
書面さえ送ればよいので、前もって契約した店舗に電話連絡等をする必要はありません。また、契約した店舗の担当者に「書面を送る必要はありません」と言われた場合にも、口頭では証拠が残りませんので、必ず書面を送ってください。
郵便はがきなどの書面に下記記載例のように記入して、控えのために書面の両面のコピーを取った後、特定記録または簡易書留など記録の残る方法で郵送してください。特定記録も簡易書留もポスト投函はできません。最寄りの郵便局へ差し出してください。
商法では、事業者の債権は5年間で時効が完成すると定めていますので、手続きが終わった後も、コピーした書面などの関係書類は5年間保管しておきましょう。
クーリング・オフ通知書の記載例
記入する項目
・契約年月日 平成00年0月0日
・商品名 ○○○○コース
・契約金額 000,000円
・販売会社 株式会社○○ ○○店
・担当 担当者氏名
・クレジット会社 □□株式会社
担当者が不明の場合は書く必要はありません。
現金払いの場合、これに加え、返金振込口座も記入しておけば、返金の際に再度連絡を取る手間が省けます。また、クレジットカード契約(カード払い)の場合は、書面を2部用意し、クレジット会社にも同時に通知しましょう。解約の理由などを書く必要はありません。
また、ケア商品などを受け取っている場合には、送料も相手負担で引き取ってもらうことができますので、商品を返送する旨も記しておきましょう。
クーリング・オフの期限について
クーリング・オフができるのは、契約書面を受け取った日を1日目として数えて8日以内です。つまり、7月1日に契約した場合、クーリング・オフの期限は7月8日までとなります。
また、クーリング・オフの書面は期限内の消印があれば有効です。販売店の住所が間違っていたり、配達不能で戻ってきた場合も、法定書面(概要書面・契約書面)に記載された住所宛に、クーリング・オフの期限内の消印で書面を送っていれば、有効になります。
2.完了
クーリング・オフの手続きは書面を送るだけで完了です。誰でも簡単に行える手続きですが、書面が正しく書けているかなど、不安のある場合は、消費生活センターで確認してもらうと良いでしょう。
クーリング・オフ手続きの際に気をつけたいこと
クーリング・オフのために再び店舗に行かない
契約解除のために再び店舗を訪れ「クーリング・オフしたい」と告げても、考え直すように言われたり、別のコースを勧められたりする可能性があります。クーリング・オフを行う際は、書面のみで通知することをおすすめします。
店舗に電話でクーリング・オフの相談をしない
店舗に電話し、クーリング・オフの相談をしたら「担当者不在なので分かりません」などと言われ、数日後、やっと担当者に繋がったと思ったら「すでに期限が過ぎているので、クーリング・オフできません」と言われた、というようなケースもあります。
クーリング・オフについて不明点や相談がある場合には、契約した店舗ではなく消費生活センターに連絡してください。
クーリング・オフ手続きを行った後の対応
こちらから書面を郵送した時点でクーリング・オフは完了です。契約は無条件でなかったことになります。
すでに料金の一部や全てを支払っている場合、業者は速やかに返金しなければならないのですが、具体的な日にちの指定はありません。なかなか返金されない場合には、消費生活センターに苦情を申し出て、間に入ってもらうことも出来ます。
それでも返金されない場合には、内容証明郵便で返金請求行うか、裁判を起こすしかありません。検索サイトで「市町村名」+「無料法律相談」と入れて検索すれば、最寄りの市町村の法律相談についての案内を見つけることができると思いますので、そちらを参考に、まずは弁護士等への相談を行ってください。
以上、脱毛サロン・クリニックでの契約でよくあるトラブル事例やクーリング・オフの適切な流れについての解説でした。クーリング・オフや中途解約の手続きは難しいものではありません。とはいえ、気分の良い作業ではありませんし、ある程度の時間も掛かります。こうした作業を行わないで済むよう、契約前にはしっかりと契約書を確認し、納得した上で契約するようにしましょう。
この記事が良かったなと思っていただけたなら、下のボタンから共有をお願いします。
コメントを残す