脱毛で出血した時の対処・治療法と予防法など全知識

ムダ毛の自己処理中に、ちょっとした不注意で出血させてしまった経験はありませんか?カミソリによるシェービングで刃を当てる方向や角度がずれ、肌に傷をつけてしまったり、毛抜きやワックスによる脱毛時に、毛穴からじわじわと血がにじんできたり・・・。

ここでは、

・カミソリで肌を傷つけずに処理するテクニックは?
・毛を抜いた時、血がにじんでくることがあるのはなぜ?
・万一出血してしまった時の正しい対処方法は?

と言った脱毛での出血に関する疑問について解説します。

脱毛による出血はどんな状況で起こるのか

脱毛による出血はどのような状況で起こるのでしょうか?カミソリであれば次のケースで切り傷を負うことが考えられます。

  • 剃る時に刃の向きや角度が少しずれて刃が肌に当たってしまった
  • 刃先が痛んだカミソリを使って、余計な力がかかってしまった
  • ワキの下やヒザ周りなど皮膚の凹凸がある部分を上手く処理できなかった

毛抜きやワックス、テープなどを使用して毛を抜く時に、毛穴から血がにじんでしまうようなケースもあります。

脱毛による出血のメカニズム

剃る場合のメカニズム

カミソリなどの刃で肌を傷つけてしまった場合、血管が傷ついて、そこから出血します。いわゆる切り傷です。

抜く場合のメカニズム

肌の内部で毛包内(毛穴の中)にある毛の部分を毛根と呼んでいます。成長期の毛根の下部は球状になっていて、そこを毛球といいます。

毛球には毛を作り出す毛母という細胞があり、そこが毛の製造工場となっています。毛球の中には、たくさんの毛細血管がループ状に入り込んでいて、そこから栄養素を送り込むことで毛を成長させているのです。

毛を抜く時に勢いよく強い力で引っ張ると、そのダメージが毛球に伝わって細胞内に傷がつき、毛穴からじんわりと血液がにじんできます。

止血のメカニズム

血管が傷ついて出血すると、血小板と呼ばれる血液を固めるための物質が集まって傷口を塞ぎます。この血小板は、傷口を塞ぐだけでなく、周りに傷を負ったことを伝えます。そして、マクロファージと呼ばれる細胞を呼び寄せ、傷口に集まったばい菌を殺させます。

出血した時の正しい対処法と間違った対処法

出血せずにムダ毛の処理ができれば一番ですが、ワックスで勢いよく脱毛したり、ワキの下をシェービングしたりする時には、気をつけていても出血させてしまうことがあります。そんな時は慌てず適切な対処をしましょう。

正しい対処法1|傷の治療4STEPを実践する

出血したら、そのまま放置せず、次の4ステップを実践するようにしてください。

STEP1:傷をみる

まずは傷口をよく観察して、深さや大きさを把握しましょう。

STEP2:傷口の洗浄

流水(水道水でOK)で傷口を洗い流し、出血の程度を観察する。浅い傷であれば、すぐに止血します。流水で傷口を流せない場合は、清潔な布(タオル、ハンカチ、ガーゼ等)を水で濡らして絞り、傷口に当てて軽く抑えるようにしましょう。

STEP3:止血する

なかなか出血が収まらない場合、出血している傷口を清潔な布(タオル、ハンカチ、ガーゼ等)で上から直接押さえて、しばらく圧迫する方法があります。圧迫した患部を心臓より高い位置に上げましょう。ここまでで止血の確認ができれば、ひとまず安心です。

STEP4:傷を保護する

止血後は、傷口を覆って保護します。絆創膏や専用の透明フィルム等のさまざまな商品が市販されているので、傷の大きさや場所に応じて適切なものを使ってください。傷の治療法については、後ほど詳しく解説します。

正しい対処法2|医薬品の機能を理解して使用する

1:消毒薬

最近では切り傷の処置で流水を使って洗浄ができる場合、消毒薬は必要ないと言われています。

傷口のばい菌の除去には効果的なのですが、一方で自己治癒力による免疫組織の働きも邪魔してしまうので、傷の回復力を弱めてしまうという説があるからです。

すぐに止血できて傷口が塞がってくる状況であれば、消毒液は使用しないでもよいでしょう。(転んでしまった時など、傷口が汚れている場合は別です)

2:絆創膏(ばんそうこう)

絆創膏は傷口の乾燥を防ぎ、清潔に保ち、傷口が広がるのを防ぎます。
以前は、傷口からしみ出た液体を拭き取り、傷口を乾燥させてカサブタを形成し治癒させるのが主流でした。

しかし、現在では、傷口から出た液体を保持し、傷口の湿潤を保った状態でカサブタを形成せずに治癒を目指すという考え方が主流です。

傷口から出る液体が持つ回復作用を活かして表皮をよりスムーズに再生することができます。これをモイストケアと呼びます。

病院へ行くべき基準

適切な使用方法でムダ毛処理をしていれば考えにくいケースですが、万一、刺し傷のような深い傷を負った時には、病院での手当も検討してください。傷が深くなかなか止血できない場合や、傷口が化膿している場合、また自分でのケアが難しい部位に傷を負った場合には、すぐに病院へ行きましょう。

正しい対処法3|肌が回復するまで処理は休む

カミソリで傷つけてしまった場合、傷口が修復するまでの数日間は、処理をお休みしましょう。またワックス脱毛や毛抜き処理の場合、毛包内での出血や炎症があると腫れや痛みを伴うこともあるので、冷たいタオルで患部を冷やすと良いでしょう。

肌の状態を観察して、回復するまでは処理を休み、残った毛が傷口の刺激にならないよう傷口を保護することも忘れないでください。

間違った対処法|そのまま処理を継続する

カミソリやワックスでの処理中に出血しても、面倒だからという理由で、そのままムダ毛処理を続けてしまう人がいます。しかし、出血は立派なケガです。放っておけば、出血量が増えたり、ばい菌に感染して腫れる可能性があります。

出血したら、出血部を流水で軽く洗って、ばい菌を洗い流した後、すぐに止血をしてください。

止血後、出血部位に何もせずに放置してしまう人もいますが、これも厳禁です。というのも、止血してすぐの傷口は、十分に修復しておらず、放っておくとばい菌に感染して、腫れたり化膿したりする可能性があるからです。

特に、ワキの下デリケートゾーンでは、蒸れやすいため、ばい菌が増殖しやすく注意が必要です。

脱毛で出血した時の治療法|きれいな肌の取り戻し方

出血してしまっても傷口を清潔にして止血することができれば、自己治癒力で修復できます。

ここでは、軽い出血による傷口を早くきれいに治すモイストケアについて解説します。
モイストケアとは、湿潤療法とも呼ばれ、傷口の乾燥を防いで自身に備わる自己治癒力を利用した治療法です。

モイストケアのやり方

市販の絆創膏など便利なアイテムもたくさんありますが、サイズや形が合わない時など、セルフケアで代用できるものをご紹介します。

使用するもの

  • 白色ワセリンかプラスチベース(どちらも薬局で入手可能な軟膏です。)
  • ラップ(食品包装用のものでOK)
  • 包帯やガーゼ

傷口は流水で洗い流し、清潔にして止血する

STEP1
傷口より大きめサイズのラップを用意して、たっぷりの白色ワセリン(プラスチベースでも可)をラップにのせて、傷口の面にワセリンを当てて包んでください。

STEP2
ラップをしっかり固定して、上から包帯で巻いてください。傷が大きい場合、滲出液(しんしゅつえき)が多くにじみ出ててくることがあるので、その時はラップで包んだ上にガーゼを当ててその上から包帯で巻くようにしてください。

ワンポイントアドバイス

基本的には1日1回の交換で問題ありませんが、暑い時期には汗疹ができることもあるので、1日2~3回交換することをおすすめします。

モイストケアによる3つのメリット

その1:傷の修復が早い

止血後、傷口からしみ出てくる滲出液には、傷ついた細胞を再生させるための細胞成長因子が含まれています。この滲出液ごと傷口を覆って湿潤環境を保つことで、細胞分裂が活発化して傷が早く治ります。

その2:痛みを緩和できる

乾燥や炎症を防ぐことで、刺激が抑えられるため痛みが和らぎます。

その3:傷跡が残りにくい

カサブタは血液と滲出液が乾くことで形成されます。カサブタができると表皮細胞が傷口を覆う邪魔をし、新しく再生した皮膚が下に押されて潜り込んでしまうため、傷口がきれいに治りにくくなってしまいます。モイストケアを行うと、カサブタを作らないので、皮膚組織の再生活動がスムーズに行われます。

モイストケアをしてはいけない場合

傷口が乾燥してカサブタができている

すでに傷口が乾燥してカサブタができている状態の時は、体液も乾いているためモイストケアはできません。モイストケアは止血後、すぐ行いましょう。

傷口が化膿して膿が出ている

化膿した状態で傷口にフタをするのは非常に危険です。数日しても改善がみられない場合は、病院へ行きましょう。抗生物質による治療が必要です。

糖尿病や血行障害で治療中

体調や体質面で傷が治りにくく、化膿しやすい人は、担当医の指示に従ってください。適切な手当が異なります。

出血が止まらない

傷口が大きく、縫合が必要な場合があります。

モイストケアを中止する時の判断基準

傷口が悪化して、化膿してきた場合は、モイストケアを中止しなければなりません。次の3つ、いずれかの症状が現れた場合は、セルフケアを中止して病院へ行くようにしてください。

化膿のサイン

  • 傷口の周りが赤く腫れる
  • 傷口の周りが発熱する
  • 痛みがある

脱毛による出血の予防法|日頃から気を付けるべきこと

脱毛時の出血を予防するためには、どのようにすればよいのでしょうか。
ここでは、出血を予防する脱毛テクニックについてご説明します。

出血を予防するムダ毛処理のテクニック

カミソリによるムダ毛処理

カミソリの刃は常に清潔で、よく剃れるもの(鋭い刃)を使用してください。
使用する前に、刃の部分を消毒すれば安心して使用できます。

逆剃りは絶対にしないでください。
処理する部分をできるだけ平らな状態にして刃を当て、シェービング剤を使いながら、直接肌に刃が当たらないよう工夫すると出血しにくくなります。

毛抜きによるムダ毛処理

処理する部分の皮膚を手でしっかりと押さえ、毛の流れに沿って抜いてください。

ワキの下などは、一本ずつ毛の生えている方向や角度がバラバラなので注意が必要です。一本ずつよく確認して処理してください。

ワックスによるムダ毛処理

一度に広範囲の処理ができる魅力的な方法ですが、毛穴の向きとは逆方向に勢いよく引っ張るので、瞬間的ではありますが肌に大きな負荷がかかる出血リスクの高い方法です。出血防止のためには、毛穴の方向が一定な箇所をブロック分けして処理をしていくと良いでしょう。

腕や脚は毛の方向が比較的一定なのでワックス脱毛に適していますが、ワキの下は毛の方向や角度が一定でないことが多いので、出血のリスクを考える上では不向きな方法かもしれません。

まとめ|出血の予防と対処

最後に脱毛で出血した時の対処・治療・予防法について簡単にまとめました。

出血の原因

カミソリの使用中に不注意から切り傷を負ったり、毛を抜いた時に毛根部分に負荷が掛かり出血することがあります。

出血への対処法

出血してしまった場合、その時点で処理を中止します。傷口をそのまま放置するのは止めてください。

「傷を見る」→「傷口の洗浄」→「止血」→「傷を保護」の4ステップを実践することが重要です。

出血の治療法

以前は、傷口を消毒して乾燥させ、カサブタを形成して治癒を目指すのが一般的でした。最近では消毒薬を使用せず、傷口から出てくる滲出液(しんしゅつえき)ごとしっかり覆って湿潤環境を保ちながら自らの治癒力で傷を修復していくモイストケアが主流です。

出血の予防法

出血の原因の多くは、ちょっとした不注意や間違った処理にあります。
出血を予防するムダ毛処理のテクニックを参考に、出血しにくいムダ毛処理を実践してください。

 

以上、脱毛による出血について解説しました。脱毛による出血は起こった後にすばやく対処することが重要です。また、モイストケアを実践すれば、傷口が早くきれいになります。

ぜひ、正しい知識を身につけて、脱毛による出血に対処するようにしてください。

さらに詳しく知る|傷口が修復する仕組みの医学的解説

傷口が修復するメカニズム

①炎症反応期

「腫れ、赤み、発熱、痛み」は炎症の4徴で、傷が治癒する初期過程に見られる大切な生体反応です。軽い傷なら2~3日、部位によっては4~5日続きます。止血後、傷の周りの表皮細胞が分裂して新しい表皮を形成していきます。

② 増殖期

炎症期に続いておよそ2~3週間かけて、表皮の下部組織の修復がはじまります。マクロファージが放出する分泌物によって線維芽細胞やコラーゲンが産出されて、傷ついた細胞を埋めるように再生していきます。(肉芽形成期)

③ 安定期

傷口が塞がれると、線維芽細胞の活性が落ちついてコラーゲンの生成も少なくなってきます。コラーゲンの生成と分解がバランスよく行われている状態で、表面上は治癒したように見えます。ところが、表皮の下にある真皮には瘢痕(はんこん)組織が残っています。これがいわゆる「傷の跡」です。傷跡の修復には、目立たなくなるまで数カ月~1年以上の期間が必要です。

止血や傷口を修復する機能は自己治癒力によるもの

わたしたちには病気やけがを自ら修復する力があります。自然治癒力や自己治癒力と呼ばれるもので、人間や動物に生まれながらにして備わっている大切な機能です。

この自己治癒力には、「自己再生機能」と「自己防衛機能」があります。「自己再生機能」とは、身体が外傷を負った時に傷を治癒させる機能のことです。「自己防衛機能」とは、身体の外部から侵入してくるウイルスや細菌類から身体を守るいわゆる免疫機能のことです。

この2つの機能は連携して機能することもあり、傷口の修復の際は、傷口から細菌が侵入してくることを防御しつつ、同時に傷口の再生をしています。

 

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